なんていうか、今日は重たい話になります。
そろそろ2週間以上になりますし、いい加減気持ちを整理したいっていうのもあるので、ここに吐き出してしまうことにします。

「権利を持っている」ということと「権利を行使できる立場にある」というのは別っていう話。


そうそう、今日の記事についてはコメントを受け付けません。

 
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2024年に入ってからすぐに、大変なことが立て続けに起きました。
元旦に令和6年能登半島地震、2日に羽田空港で日本航空機と海上保安庁機の衝突事故…言い方が良くないかもしれませんが、さんざんな年始でした。

わたしは結構こういうことを引きずるタイプの人間なので、なんのかんので1月末くらいまで引きずってグダグダになってました。
ようやくまた動き出せるかなぁ、と思えるようになってきたのは2回目の能登半島地震の義援金を送った1月末くらいのこと。
そんな時、漫画家の芦原妃名子さんの訃報を聞きました。

真っ黒背景

事の顛末についてはここでは触れません。
ですが、関係している企業や個人が誰一人謝らない点と、クリエイターが持っている権利を全く歯牙にもかけていない点において、未だに全く納得できないし非常に腹立たしく思っています。

とりあえず日テレ系のテレビは見なくなりましたし、これからも見ないでしょう。
小学館の本も今後買うことはないでしょう。
扇動したりするつもりはありませんが、こういう行動を個人の意志で行うことについては問題ないでしょう。
個人でできることってこの程度のことです。



小学館のコメントの中に、作者が持っている権利について書かれている部分があります。
私たちが語るまでもないことですが、「著作権」と呼ばれる権利には、「著作財産権」と「著作者人格権」というものがあります。
「著作財産権」が利益を守る権利に対し、「著作者人格権」というのは著者の心を守るための権利です。
著者の許可なく改変が行われないよう作品を守るための「同一性保持権」をはじめ、「名誉声望保持権」「氏名表示権」「公表権」「出版権廃絶請求権」「修正増減請求権」があります。これらの全ては契約を結ぶまでもなく、著者の皆様全員が持っている大切な権利、これが「著作者人格権」です。
(中略)
著者の意向が尊重されることは当たり前のことであり、断じて我が儘や鬱陶しい行為などではありません。
守られるべき権利を守りたいと声を上げることに、勇気が必要な状況であってはならない。
私たち編集者がついていながら、このようなことを感じさせたことが悔やまれてなりません。
二度と原作者がこのような思いをしないためにも、「著作者人格権」という著者が持つ絶対的な権利について周知徹底し、著者の意向は必ず尊重され、意見を言うことは当然のことであるという認識を拡げることこそが、再発防止において核となる部分だと考えています。
小学館プレスリリース 2024.02.08 芦原妃名子先生のご逝去に際して より引用

新聞・テレビ関係者が高飛車で横道だというのはタクシー乗務員時代に肌に染みて感じていましたが、ここまで他人の権利を無視するものだとは思いませんでした。
出版社も、これだけのことを書けるのに周知徹底されていなかったのはなぜなのか。君らなにしとったのか。
そもそも作者は権利を行使できる立場になかったんじゃないのか。

どちらも猛省してほしいものです。人がひとり自殺してるんですよ。

小学館は上記のコメント内に
二度とこうした悲劇を繰り返さないために、現在、調査を進めており、今後、再発防止に努めて参ります。
と書くなら、いつまでに行うか結果と防止策を公表してほしいもんです。
日テレは完全にこの件には触れずに嵐が過ぎるのを待つ気満々みたいですから、コンプライアンスなんて言葉は知らないのでしょう。企業として終わってると言わざるを得ません。少なくともニュースで政治家に「説明責任を果たせ」なんて言葉は使えませんね。


少し引いた目で見てみると「作者が強い権利を持っている」ことと「権利を行使できる強い立場である」ことは全然違うということが見えてきます

行使できない権利なら絵に描いた餅です。

わたしはいわゆる原作厨ではないですが、漫画家・小説家の皆様におかれましてはテレビ局や出版社が持ってくる安易なメディアミックスの話には乗らないほうがいいのではないでしょうか、と思います。
個人的には今回のことは安易なメディアミックスに大元がある気がしています。

こういったことを防止する観点から、エージェント制度や弁理士を間に挟む契約というのも今後は重要になってくる気がします。
ハリウッドばりに分厚い契約書の束を作れというわけではないですが、専門家を間に挟むことでトラブルを未然に回避できる可能性が生まれるのでは、と期待しています。


昨今の生成AIの問題も同じような構図に見えてきます。
文章なりイラストなり写真なりの作者の権利はネットに上がった時点で消滅してるかのような勢いで"学習"という耳障りの良いお題目を唱えてAIが消費していきます。
日本の場合これを国が主導してやっていってる面がありますから頭が痛くなります。
現行の著作権法は利用者が楽しむことを目的にするのではなく、技術開発などのためにAIに学習させるだけなら著作物を原則、許諾なしで利用できるとしている。例外は権利者の利益を不当に害する場合だ。
日本経済新聞 2023年10月30日 16:00 生成AI対応で「著作権法改正を」新聞協会

嘆いて終わりなのも悲しいものがありますが、国やマスコミがこの調子ですから、日本に著作者の権利が根付いていくのは遥か先のことになりそうです。


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