今回はきのこる先生の話です(謎
きのこる先生
この元ネタが分かる人、もう少ないかもねぇ…(笑)
あえて解説したりしないので、知りたい方はググってください

実のところ、ここ数日くらいはネットに写真関係のネタが結構転がってたりはするんですが、「またか」的な「何度目だよ」になっちゃうもの(電車止めた迷惑撮り鉄3人組の話)とか、「某政党の議員にねじ込まれたからって法の不遡及無視してイベント中止ってどゆこと?」(現在絶賛炎上中)みたいなネタにするのがちょっと怖いコメントし辛いネタだったりするのでここには書けなかったりします。

じゃあ何の話なのよということになりますが、
「写真を撮る人がこの先生きのこるには?」
というテーマで話を進めていこうと思います。

勘のいい方はお察しかと思いますが、写真と画像生成AIの話しです。
しかしこれも十分めんどくさい方向へ進む可能性があるネタだわねぇ…。



考えるきっかけはWindows11

この話を改めて考えるきっかけになったのは、ウチのPCのOSをWindows11に無料アップデートしたことでした。10日くらい前のことだったかな?
いやぁ、なんか最近Microsoftの圧を感じることが多くて…(笑)
アップデートしたってことでそれなりにWindows関係へのアンテナ感度が上がってたわけなんですが、そのおかげというかなんというか、Microsoft Edge のポータル Bing で Bing AIImage Creator が使えるようになったというのを知りました。それも日本語で。しかも無料で。

Bing AI とだけ書くと「なにそれ」になりそうですが ChatGPT と同じ大規模言語モデル GPT-4 が使われている検索AIチャットと言えばなんとなくわかっていただけるでしょうか。
Image Creator はいわゆる画像生成AIです。OpenAI社が開発したDALL-Eの進化版(と書かれてはいるけどDALL-E 2 ではないぽい)を使用しています。
この2つのサービスは Microsoft Edge に統合されています。
なので、すごくざっくり言うと Microsoft Edge をインストールしていれば ChatGPT と DALL-E を無料で使えるということになります。
MicrosoftがOpenAI社に10億ドル(!)出資しているので無料で使えるんだそうな。桁が違いますな。

「AIがオープンソース化されたから一般に普及するのも時間の問題だろうなぁ…」なんて思ってましたが、思ったより早かったです。

影響を受けなさそうな層

さて、この記事では Bing AI や Image Creator の使い方については掘り下げません。あくまでも写真を撮る人と画像生成AIの関わり合いの部分にフォーカスしていくつもりなので、使い方などを知りたい方は他の記事をお探しいただくことになります。ご了承ください。

まず、写真を撮る人で、AIの一般への普及に影響を受ける層と受けなさそうな層を考えてみようと思います。

影響を受けなさそうな層としては、画像生成AIでは需要を満たせない写真を撮っている人が挙げられるでしょう。キーワードを挙げるとすればオリジナリティになるでしょうか。
  • 自分の世界観を表現する写真
  • 有名タレントや著名人が写っていることに意味がある写真(≒広告写真)
  • 家族写真や肖像写真など、その人が写っていることに意味のある写真
  • 特定の時間や実在する場所で撮る必要がある写真(≒証拠写真)
こういった写真を撮っている人は、比較的影響を受けないと思われます。
それぞれ見ていきましょう。

自分の世界観や価値観を写真で表現している人(写真家とか写真作家とか言われる人がこれにあたるかな?)については、アート性やその人のオリジナリティが重要ですから、(今の段階では)AIには難しい分野にあたると思われます。

広告写真のように、有名タレントや著名人が写っていることに意味がある(高好感度のタレントが商品を持ってニッコリみたいな)写真も、今の段階では肖像権の問題からAIを使うことは難しいような気がします。
ただし、被写体側がOKを出せばこの点はクリアされるでしょう。言葉は良くないですがディープフェイクの技術を使えば一般の人は多分見分けがつかないものが作れると思います。

家族写真や肖像写真・結婚写真など、その人が写っていることに意味があるものも、画像生成AIでは需要を満たせないでしょう。
もっとも、最近ではプリクラやスマホのアプリよろしく映えを意識して加工するのは当たり前・なんなら顔の輪郭も目の大きさも変えますよみたいなのが若い人の間では普通になってますから、いつまでもこの分野が安泰とは言えないと思います。あくまでも現時点では、の話です。

証拠写真の分野に入るものも、その場所・その時間に撮られていることが重要になってきますから、画像生成AIでは需要を満たせないことになります。

廃業の危険性がありそうな層

影響をモロに受けて廃業の危機がやってくる層は、ぶっちゃけ上記以外の写真を撮っている層全部じゃないかと思います。多分画像生成AIに置き換わっていくと思います。
その中でもストックフォトについては、数年で役割を終えるのでは…という気がしてます。
ストックフォトで扱われてる写真の中でも、短時間だけ動画に使われる写真については、ほぼほぼ画像生成AIでいけちゃうでしょう。求められるクオリティと画像生成AIの進歩次第という面はありますが、おそらくあっという間にいわゆるハイクオリティと呼ばれているものも置き換わっていくと思います。

例を挙げてみましょう。

動画の中に挿入するためのイメージカットとして、秋の田舎の風景を Bing Image Creator で作ってみました。動画の中で表示される秒数としては2~3秒程度を想定しています。
生成に使ったプロンプト(命令文)はコレ。
日本の山間部の農村の風景 点在する家 広がる畑 秋の夕日 紅葉している山や木々
一度に3~4枚の画像を生成できるのですが、今回は全部貼ってみます。
田舎の秋-1
写真と絵の間みたいな質感ですが、悪くないですね。

田舎の秋-2
田舎の秋-3
田舎の秋-4
正直、思った以上のクオリティでした。

もうちょっと実際に使われそうなところで、居酒屋の写真を作ってみました。
命令文はコレ。
居酒屋で盛り上がっているサラリーマン3人組の俯瞰写真 季節は夏 白いワイシャツ  中身の入ったビールジョッキを持っている一人は紺色のネクタイ テーブルの上には唐揚げと冷奴と焼鳥とビール瓶
飲み会-1
「5人いるぞ」とか「冷奴どこいった」とか細部を見ていけばイロイロと突っ込みどころは多いですが、居酒屋でサラリーマンが盛り上がってるというイメージは伝わります。
他も見てみましょう。
飲み会-2
これは結構いろいろと破綻してますね(笑)
飲み会-3
飲み会-4
やはりちゃんと見るとツッコミどころ満載です。
でも質感はちゃんと写真してますね。

さて、前述しましたが、わたしはこれらを「2~3秒程度」「動画の中に挿入するためのイメージカットとして」という前提条件で作成しました。
居酒屋の4枚のカットのうち、最初のカットを動画の中で2~3秒流したとして「これは不自然だ!」と目くじら立てる人がどのくらいいるでしょう?ぶっちゃけ言わなければ破綻してる部分に気づかない人のほうが多いと思います。そもそもイメージカットですから、必ずしも実写真である必要はありません。イラストでも良いわけです。
田舎の風景については「なんか絵っぽい」と思う人はそこそこ出る気がしますが「明らかにおかしい!」と怒り出す人はほとんどいないんじゃないでしょうか。そのくらいいい出来です。

作成にかかった時間は、命令文を考えるところから始めてそれぞれ3分くらいです(ちなみにこれが画像生成AIを使った初出力だったりします)。
これを実際に撮影しようと思ったら何十倍もの時間がかかります。当然お金もかかります。

今の段階でも、用途によってはストックフォトを必要としないものを短時間に安価に生成できるということはお分かりいただけたと思います。

注:「動画の中に挿入するイメージとして」という例で画像を生成しましたが、そもそもBing Image Creator の利用規約には商用利用については全く触れられていません。YouTubeで個人が収益化しているのが商用利用に当てはまるかどうかはMicrosoft や OpenAIの判断になりますから、明文化されていないものを使って収益化の対象に使用するのは止めておいたほうがいいでしょう。商用で使うなら他の画像生成AIを使ったほうがいいと思います。

何を追求して生き残っていくか

さて、では写真を撮る人はどうやって生き残っていくか、ですが。

先程「キーワードを挙げるとすればオリジナリティになるでしょうか。」と言いました。AIに取って代わられる可能性のできるだけ低い部分というと、オリジナリティを追求していくことになると思います。

もうひとつ。
写真そのものが持っている特徴を活かすことかな、と思います。
写真の特徴の1つに「その時間・その場所にいないと撮れない」というものがあります。証拠性とか記録性とでも言えばいいでしょうか。
写真を定着させる媒体は、ガラス板からフィルム、そしてデジタルへと変化してきました。劣化せず複製も編集も容易なデジタル化された写真はいい面もありますが、それ以前にあった証拠性(編集や改ざんが難しい)という部分はかなりゆらぎました。
いまからフィルムへ戻るのはあまり現実的ではないですが(そもそも感材がなくなりつつある)、デジタル透かし等を積極的に利用して記録性や証拠性を担保した写真というのも、これから先画像生成AIがさらに進化した時代には必要になるような気がします。


画層生成AIに限らず、AIはいわばパンドラの箱のようなものです。
箱の中から最後に希望を出すことができるか、それとも希望を見つけることができずに終わるか、写真を撮る人が生き残っていけるかはそこに掛かっている気がします。


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