なんか最近、守備範囲内で炎上騒動が頻発している今日このごろです。
わたしは火つけてないですよネンノタメ

ここ数日カメラ界隈で話題になっている、富士フイルムのお話です。
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過去にも炎上騒動がありましたが、今回は2024年5月の決算発表での質疑応答が火種になり、いわゆる炎上状態になってますね。ネット記事やSNSだけでなくYouTubeでも動画になってます。



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火種になった記事は、デジカメinfoに掲載された富士フイルムCEOの発言です。
記事はコチラ。


これがX(旧ツイッター)で拡散されて波紋を呼んだ、という形ですね。

火種になった部分をざっくり抜き出してみると、
「ポイントはブランド⼒をどれだけ作って、それをどう維持するかが最⼤のポイントです。ですから作りすぎちゃって、値段を下げるとか、それはかなりもったいないことというか、富⼠フイルムがずっとやろうとしてきたところはやっと今それが叶うようになってきた。」

「例え話で⾔えば、社内で僕が⾔っているのは、ドイツの有名なメーカーライカっていうのは、いまだに古いカメラも、今売っているカメラも、かなり⾼い価値を維持しているところが⽬標とするところです。これまでの富⼠フイルムのカメラの売り⽅を、根本的に変えていくところが、ミラーレスカメラのわれわれが⽬指すところでございます。」
デジカメinfo 「カメラを作りすぎて値段を下げるのはかなりもったいない(富士フイルムCEO)」より引用

これに加えて、
決算の質疑応答によると、富士フイルムは現在のカメラの在庫状況を「平常な状況」であると認識しているということなので、現在の状況を問題があるとは思ってないようですね。
デジカメinfo 「カメラを作りすぎて値段を下げるのはかなりもったいない(富士フイルムCEO)」より引用

ということで、さらに燃えたという構図でした。


コロナ禍で半導体の供給が滞った結果いろんなものが品薄状態になったのはご存知のとおりですが、カメラ界隈でもほとんどのメーカーで生産数の減少がみられました。
富士フイルムでもここのところ常に在庫の品薄状態が続いていて、さらに最近では高級コンデジのX100VIが転売ヤーのターゲットになったこともあり、既存の富士フイルムユーザーから批判を受けていたようです。

そこに持ってきて"作りすぎちゃって値段を下げるのはもったいない"や"在庫状況は平常"なんて話がCEOから出ちゃったので、不満爆発といった感じに見えます。


ただまあ、擁護するわけじゃないですが、富士フイルムCEOが言ってることも分からなくはないです。
ニコンやキヤノンと比べると、富士フイルムのカメラにはブランド力が足りないように見えるのは確かです。なので「ブランド力を上げていこう」という方向に向かうのは悪いことではないと思います。


「作りすぎちゃって、値段を下げるとか、それはかなりもったいないこと」という行も理解できます。
わたしは約10年写真フィルムの現像所(いわゆる工場・フジ系ではないですよ)で働いていましたが、正直なところ地元の大手カメラ店の要求で年々プリント価格が下がっていくのを快く思っていませんでした。バブルが弾けて日本中で「より早く・より安く・より高品質に」が始まっていましたから、写真のプリントとはいえそれなりに矜持を持って生産していたものが安くなっていくのは辛いものでした。

高品質なものにはそれなりの価格設定がされて然るべきだと今でも思っています。「なんでもかんでも安ければ良い」では生産側が苦しくなるだけですし、「安かろう悪かろう、高かろう良かろう」というのが本来あるべき姿なのではないかと思っています。

話が逸れたので戻しますが、多すぎる余剰在庫を抱えるというのは製造業なら極力避けたいところです。例えばスーパーの惣菜などは、作りすぎれば閉店間際に値引きシールを貼って「とりあえず原価分だけでも回収しよう」ということになります。原価分だけしか回収できなければ、トータルでみたら赤です。
ただ今の富士フイルムの場合は、ユーザーや購買層が「買えない!なんとかして!」と言っている状態ですから、わざと市場に商品を流さない品薄商法なのかととられたんでしょう。

経営のド素人が言うことでもありませんが、「ですから作り過ぎちゃって~叶うようになってきた」までは言わないほうが良かったんじゃないかねぇ、と思います。

ライカを引き合いに出したのも良くなかったように感じます。
目標に掲げるのはいいと思いますが、社内での話に留めておくべきだったんじゃないでしょうか。ぶっちゃけライカの話ってそもそも荒れやすいですし。


わたしはこの話をXで知って最初に読んだ時には「フジはライカを目指すのか 大変だろうなぁ」という感想でした。
わたしがライカのカメラに持っているイメージは、実は昔からそれほど良いものではなく、
  • 高いよ とにかく高いよ
  • レンジファインダーってスナップ以外だとしんどい
  • ていうかこのカメラ、どっちかというと使いにくいぞ
という感じです。

わたしが感じるライカのブランド力の根底にあるのは、35mmカメラの時代を切り開いてきたことにあると思います。ライカ1台で家一軒買えたのは、ライカが35mmカメラの時代を作って、家一軒分の価値があると世の中に思わせたからです。
富士フイルムは…というか富士フイルムのカメラは、時代を作れるでしょうか。


わたしは富士フイルムのカメラを持っていませんし使ったこともないのでお気楽に言えるのかもしれませんが、品薄商法と呼ばれない程度には国内にも流通させてほしいと思います。
多分ですが、品薄商法なんて採ってもブランドは上がらないです。


 
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