予め断っておきますが、今日の記事は単なる雑記です。また研究者でもない一般人の(恐らくは思慮の足りない)世迷い言の類に入るものです。
今やデジタル全盛の世の中になりました。
テレビを点ければDX(デラックスと読んではダメですよ?)関係のCMを見ない日はありませんし、スマホの個人普及率は67.4%(総務省 令和2年版 情報通信機器の保有状況 より)と3人に1人は持っている時代。人々は時間が空けばSNSに興じますし、お店でもオンライン決済が当たり前になってきました。そもそもわたしが書いているこのブログもインターネットというデジタル基盤ありきのものです。
何と言ってもデジタル庁なる役所まで新設して国を挙げてデジタル化に取り組む世の中です。今後もこの流れは止まらないでしょうし、むしろ加速していくと考えるのが普通な気がします。
また、つい先日からですが「人間が命じた言葉を元にAIがイラストを生成する」というモノ(とりあえずモノと表記させていただきます)が注目を集めています。代表的なものだと Midjourney 、著作権絡みで大炎上し公開から1日でサービスを停止した mimic もそうですね。
8月22日には画像生成AIの Stable Diffusion がオープンソース化され、イラストのみならず写真業界もザワついたりしました。ライセンスを明記すれば営利・非営利問わずに使用でき、権利は作成者自身が保持するというものです。
個人的には、オープンソースになってしまったということは未知の生命体を野放しにしてしまったような怖さがあります。クワバラクワバラ。
ちなみにわたし自身は「この先数年かからずにストックフォトサービスやストックイラストサービスの役割は終わるかもしれん」と思ってます。
今のところAIにイラストを描かせるサービスは有料のところが多いですが、オープンソース化されたということは個人ベースで動かせるお絵描きAIもそれほど遠くない未来には出てくるでしょうし、そのクオリティも恐らくすごいペースで上がっていくでしょう。例えばブログやYouTube動画の挿絵なんかは余裕で作れるようになるでしょう。
つまりそれは、出版物級のクオリティまでは求めないという層はストックフォトやストックイラストを必要としなくなる未来の到来ということ。「わざわざ時間かけて検索してお金払って使わなくても自分のPCやスマホでテキトーなの作ればいいじゃん。著作権とか気にしなくていいし、写真じゃなくてイラストでよさげだし。」的な未来。
クオリティについて言えば、今でさえ写真と見紛うようなクオリティのイラストを吐き出したりしますから、さらにクオリティが上がれば出版業界でも「わざわざカメラマンに発注しなくてもディレクター自身の発想をAIに出力させたほうがいいんじゃね?」という時代が来そうな気もします。
もう社会と切っても切れない関係になってしまった DX や AI 。
うまく付き合っていかなければいけないと思う反面「コイツらそんなに信用できんのじゃないか?」と思ってる自分もいたりします。
写真を例にすると、デジタル画像は編集や改ざんがしやすいといえば「あーなんとなくわかる」と思っていただけるかと思います。フィルムの時は結構たいへんでしたが、色や彩度を変えるのはもちろん写ってる物を消すなんてことも最近はすごく簡単にできるようになりました。こんな風に。
船を消してみました。使ったのは GIMP というオープンソースの画像編集ソフトとプラグインで、かかった時間はウチの数年前のゲーミングPCでも画像を開くところから始めて1分くらいでリネームして保存まで終了します。有名所だと Photoshop や Google Pixel 6 シリーズのスマホにも同じような機能が搭載されてます。
船を消すよりアニメーションGIFを作るほうが、アニメーションGIFを作るよりもGIFをアップロードするほうが時間かかってるという…(笑)
単写真だけでなく動画でも改変は結構簡単にできるようになっているようです。Deep Fake という単語を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。本人と見紛うばかりの、ハリウッドスターや政治家のなりすまし、ポルノムービーなんかで問題にもなっています。もちろんポジティブな使われ方(映画の吹き替えやバーチャルタレントなど)というのもありますから、一概に「全部ダメ」というものではないということは申し上げておきますが。
「写っているものが真実ではない」という点には、これからは今まで以上に留意していく必要があるように思えます。元々 Photograph(Photo:光 + Graph:描く )を日本語に訳す時に「写真」なんてものにしたから悪いのよ、というのは以前にも記事にしたことがありますが、英語で「写真を撮る」のを take a picture というように、写真っていうのはピクチャー(画)なのよというのを覚えておく必要がある気がします。
AIについては、YouTubeに動画を投稿している方なら、ゆっくり系の動画などで収益化剥奪騒ぎがあった時に「誤BANされた!AIなんかに審査させてるからだ!」なんて話を聞かれたことがあるんじゃないでしょうか。
YouTubeが動画のチェックにAIを使ってるのは数年前から半ば当然の事実になっていますが、最初の頃はあまり精度がいいとは言えなかったようです(今は知らん)。
そういえば今朝の某ワイドショーで「YouTubeもこれからAIを導入して…」なんて言ってましたが、何年前の話をしてるのかと…世界中で1分間に500時間分の動画がアップロードされてると言われてるサービスですぜ? 人間だけが見てチェックしてるとお思いか?
身近なところだと、自動車の自動運転は自動車分野のDXの要素として挙げられそうです。
ハンズフリーができるレベル2はCMを見る機会も増えましたし、レベル3だとホンダの新型LEGENDが対応してるそうです。
じゃあ絶対安全なのかというと、テスラが実験で子供のマネキンを3/3回轢いたなんて話もありますし、事故が起きてからじゃ遅いのよ的な心配は今でもついて回ります。
先日、通園バスの中に放置された幼い子供が熱射病で死亡するという痛ましい事件(事故ではないな、これは)が起きました。なんか話を聞いてると「システム上は登園になっていた」とか「まとめて入力した」とか言われてますが、システム的なことよりも「なんで車内を確認しなかった?」とか「なんで休みだと判断した?」とかいう事の方が重大な問題に思えます。
ワイドショーを見ていたウチの母親は「子供が休みだったら幼稚園から電話かけたりせんの?親御さんから休ませるって電話があったわけじゃないんじゃろ?」と心底呆れ返ってます。コメンテイターが「もっとDXを活用したシステムに変えるべきだ」みたいなことを言っていましたが「いや問題はそこじゃなくね?」と思うのはわたしだけでしょうか。
デジタル化やAIの導入がヒューマンエラーを減らすことに大きく役立つのは解りますが、最終的に人間がチェックを入れなきゃいけない部分というのがあるように思うんですよね。どんな機械やシステムも、使うのは人間です。責任は使う人間にあるわけですから。
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